「からほりらへん(変⁉)なヒトたち」by探偵旅団
からほりらへんの変な人※を取材するコーナーの第2回(後編)。
第2回の変な人は、グルテンフリーのガトーショコラ専門店ショコラッタの大橋一雅さんです。
2013年に「ガトーショコラ専門店」としてオープンした「ショコラッタ」さん。2016年には全商品を「グルテンフリー」に移行するというチャレンジングなお店ですが、9年目の今年(2021年)には店頭のデザインをリニューアルされました。和風モダンな外見に新しくなったショコラッタさんに取材に伺いました。 (後編)
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※ここで使われる「変な人」は、個性的で魅力的な人に対する誉め言葉として使わせていただいておりますよ~。 (これまでの取材記事はコチラから)
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デザイン業界からカフェ業界へ
デザイン事務所を立ち上げられて経営も順調。
そんな中で「ショコラッタ」を始められることを決断されたわけですが、まず仕事を辞めようと思ったのはどうしてですか?
2008年にリーマンショックが起こりまして、そのニュースを日曜日の夜に見ていたんです。
会社が倒産して荷物を運び出す映像です
大変な出来事でしたよね
次の日の月曜日、ほとんどの仕事がストップしたんです
あの時はどの会社も削れる経費の全てを削って会社を存続させようと必死でしたから、広告費をゼロにした会社は多かったみたいですね
企業さんからの受注がなくなって個人様からの小さい仕事ばかりになったんです。
1カ月くらいしてようやく徐々に仕事が戻ってきました。
ところが、仕事の取り合いで値引き合戦が行われ単価が下げられ、半額くらいまで落ち込んでいったんです
デザイン会社や印刷会社、広告代理店はいくつか倒産したみたいですね
うちは倒産しないで、なんとか持ちこたえたんです
それはよかった
倒産の危機も乗り越えて迎えた2011年、東北大震災が起こりました
また仕事が減ったんですね?
いえ、逆に少し増えたんです
え?
そう「え?」って感じでしょ。
アメリカの1企業が倒産しただけで日本があれだけ大きな影響をうけたのに、東北大震災の被害では私の仕事にはほとんど影響がなかった。
ちょっと待てよ、となったんです
確かにそうです!
おかしいですね
日本経済はアメリカに依存し過ぎている。
アメリカ次第で大きく左右されてしまうってことに気が付いて、それが嫌になったんです。
依存しないで自立したいと強く思って
それがキッカケだったんですか!
基本的に「デザイン」って誰かの目的を達成する手段なので下請け(受注)仕事なのに対して、自分の思いを形にできるのが「カフェ」なんです
確かに!
デザインは問題解決手法ですもんね
カフェオープンが自立と繋がって、2012年から準備に入りました
それでいよいよ、カフェオープンですね!
そうです(笑)
「自分でモノを作って売る」スタイル
自分で価値を決められる=自分次第・自立
自分でカフェを持ちながら、その店自分が作ったものを売る
そんな感じです
「ガトーショコラ専門店」で、再出発!
2012年から準備して、2013年にオープンとなった「ショコラッタ」。ここで伺いたいのがどうして「ガトーショコラ専門店」にしたんですか?
自分で価値を決められるものを作りたいと思ったのは良かったんですが、さて何をしようかなと思っていたんです
何も決めてなったんですね
はい(笑)
そんな時に大学時代のバイト仲間が「教えてあげるから自分でやってみたら?」と言ってくれたのがガトーショコラだったんです
ほぅ!
そのバイト仲間は数年前からビストロを営んでいまして、よく食べに行ってたんです。
そこのガトーショコラが美味しくて「これだけで店だしたらええやん」って私が言ってたんですよ
自分で言ってて、自分で店出しちゃった!(笑)
そうなんですよ(笑)
面白いですねー
自分でしてみたらって話をもらった時に「これや!」って
それでガトーショコラ専門店で始めることになったんですか!
32歳で仕事を辞めて、42歳で店を立ち上げたんで丁度10年でした。
濃い~10年でしたね
念願のカフェオープン…
ようやく念願のおしゃれなカフェをオープンできたわけですが、夢が叶ったオープン当初はどんな感じだったんですか?
ん~、それがですね…
オープンの翌月から借金の返済に苦しむ日々がはじまりまして…
資金も準備されてたんですよね?
そうなんです。
運転資金もちゃんと用意してオープンする予定だったんですが、ちょっと業者さんと行き違いがあって…
いきなり借金の返済が始まった!?
借金が膨らんで全然楽しくなくて、オープン後はツラい思い出しかなかった(苦笑)
なんと悲しい。。。
毎日あまり眠れない日々で、3年くらい不安な時期が続きました
3年!!
こんな苦しい時に空き巣被害にあったりもしましたし
もう聞いていられないっス(汗)
どうして続けてこれたのかが逆に怖いくらい…
自分から逃げるのだけは嫌で続けてこれたんだと思います
超ストイック!!
値段を上げるとか考えなかったんですか?
「手ごろな値段で食べられる」というのをコンセプトにしていたので、そもそもそういう発想がなかった
当時は安さを売りにされていましたもんね
「完全グルテンフリー」の店誕生!
それは失敗から…
そんなツラい毎日の中でどうやって「グルテンフリー」のガトーショコラに行きついたんですか?
当時は180円と今より非常に安かったので、ある時大量の受注が来たんです
一心不乱に作っていたら1つだけ小麦粉を入れ忘れた失敗作ができてしまったんです
小麦粉を入れ忘れちゃった
後でそれを食べてみたんですが「めっちゃおいしい」んです
なにぃ!!!!
小麦粉入れてるやつよりも、おいしかったんですよ!
なにぃー!!!!(爆笑)
それがわかってから、材料を改良して「小麦無し」を商品化したんです
失敗からできた商品ですね!
めっちゃ面白い(笑)
確かこの頃に値段も変わりましたね?
そうなんです。
お菓子の材料ってこだわらなければ安いものはいくらでも手に入る。でも、もっと安全で体に優しい材料を使えば価値も上がって喜んでもらえるんじゃないかって思えるようになったんです。
あと、自己評価が低いと安いものしか売ることができないって気付いたのもあります
苦難の日々の中で修行僧のような心の気付きや成長が起こってるじゃないですか!(笑)
この商品が小麦アレルギーの方に徐々に売れ始めて
おぉ、いい兆し
年配の方がアレルギーのお孫さんに買って帰られることがあって、小麦ありと小麦なしを説明して袋に入れるんですが、説明を忘れると見た目では分からない
なんか危ない感じ…
私もこれは説明しても限界がある、そう悩んでいた時に「グルテンフリー」という言葉が使われ始めているのを知って、これを機にいっそのこと店内で扱う商品を全てグルテンフリーにしてやれ!って思って「完全グルテンフリーの店」にしたんです
思いきりましたねー
「完全グルテンフリー」は大阪で初めてだったとか?
2016年当時に私が調べた限りですが間違いないと思います!
大阪で唯一の存在にまで価値が上がったということですね、スゴイ!
3年のツラい時期を乗り越えてできたグルテンフリーのガトーショコラが、今販売している「濃いショコラッタ」なんです。
なるほどー
3年が経って、やっと自分の作りたいものが作れた! そう思いました
これ、本当においしいですよ
うちの息子が小麦アレルギーなんですが、安心して食べさせてます
より安全な方へシフト
「濃いショコラッタ」が完成して、その後はどうなりました?
4年目になって、いいお客さんが常連さんになってくれて、やっと地域になじんだ感じがしてきました
だんだんよくなってきましたね
月の支払いはずっと厳しかったですけど…(笑)
とほほ
この頃からお店が変化していったように記憶してます
自然系の食品を置いたり、セミナーを開催したり
この店の理念が「食と健康は心の在り方だと気付くことで人生は豊かになる。自他ともに幸せになるショコラッタ」でして、この理念にあった商品やセミナーを誘致したりしています。
具体的には?
薬膳講座、みそ作り体験、心理セミナーとかですね
それとカフェ営業の傍ら、心理学や算命学などもめちゃくちゃ勉強されてますよね?
そうなんです。「心の在り方」を勉強していて、「潜在意識」に気付くお悩み相談のような個人相談もしています
大橋さんの経験と知識量があれば説得力ありますよ
人間関係や仕事にストレスや悩みを抱えている方が結構おられます
トラブルが多い、自分がこれから何をしていけばいいか分からないというご相談も
確か民間の資格をお持ちでしたね!
時間がある時限定で1回3000円~ご相談いただけるそうなので、ご興味のある方はご来店くださいませ
話は変わりますが、3月に外観を改装されましたね
和のテイストでいい感じ!
私は好きですネ
ありがとうございます
前の外観は可愛い感じでしたが、今回改装の狙いって何ですか?
実は前の外観って好きじゃなかったんです…
え? ええ!?
デザイン職を10年経験して作った自信作じゃなかったんですか?
借金を背負うことになったので、お店自体を好きになれなかった
それはなんと…悲しい…
コロナ禍の景気対策に3年間実質無利子でお金を借りられる制度ができたんで、それを利用しました
無利子はありがたい
外観をリニューアルして、やっと「自分の店が持てた」と実感が湧きました
遅ぉ!!!!(笑)
借り換えで返済が少し楽になりましたし、何より今回は自分で決めたことなんでやる気が出る、返済していこうという前向きな気持ちになってます
すばらしいです!
これからもっと変わっていく兆しがあるショコラッタの大橋一雅さんに注目ですよ!
ショコラッタさんの店舗情報
店名 | ショコラッタ |
ChocoLatta | |
住所 | 大阪市中央区瓦屋町2-12-15-1F |
アクセス | Osaka Metro 長堀鶴見緑地線 松屋町駅から徒歩5分 Osaka Metro 谷町線 谷町九丁目駅から徒歩8分 Osaka Metro 長堀鶴見緑地線 谷町九丁目駅 から徒歩8分 Osaka Metro 谷町線 谷町六丁目駅から徒歩10分 Osaka Metro 長堀鶴見緑地線 谷町六丁目駅 から徒歩10分 |
営業時間 | 12:00~22:00 ※感染状況により変更となっている場合があります |
定休日 | 不定休 |
電話番号 | 06-6761-6565 |
※取材時点の情報です。情報が変更になっている場合がございますので、詳しくは電話等で事前にご確認いただくようお願い致します。
記者(ライター)紹介
にっしゃん(探偵旅団/参謀)
まちのローカル情報(不思議やナゾ)を探偵のように調査(取材)し、メディア発信する記者一家、その名も探偵旅団(たんていりょだん)。そこの参謀がにっしゃんです。
2007年から上町台地の地域情報紙『うえまち』でローカルメディア制作に10年以上携わりました。2014年からは編集長となりデザイン、編集・企画・取材・営業など様々な業務を行ってきました。多くの取材現場を経験させてもらい、写真撮影や取材のスキルは持っています。
編集長時代は、ライターというより取材・編集・デザインがメインで、書くことは好きでしたが専属ライターがおり書くことがあまりなかったです。今回、このコーナーを記者としてライティングできることは大変うれしく思っています。
「探偵旅団」とは
誰かの当たり前は、誰かにとっては不思議やナゾかもしれません。普段、自分たちが暮らすまちには、ある人にとってはたくさんの当たり前があり、同時に不思議やナゾも隠れています。そんなまちのローカルな不思議やナゾという「情報」を探偵のように、調査(取材)、分析、解明、そして発信していく記者一家、それが探偵旅団(たんていりょだん)です。
私たちは「伝える」ということは文化的で素晴らしいことだと考えています。人を介して得られる情報には時として心(魂)が宿っています。取材で得られた生きた情報に込められた心(魂)を見つけ出し、言葉やアート(デザイン)でつむぎ出していく。そこにさらに私たちの心(魂)を込めてメディアで発信していく、これが探偵旅団の主な活動内容です。